みなさんご存知かもしれませんが、病院内では数多くの医療職種の人たちが働いています。
例えば医師や薬剤師、看護師、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、管理栄養士などです。
私たち臨床工学技士も他職種と同様に医療を支える病院職員として働いています。
どんな仕事なのか？どうしたらなれるのか？などご紹介します。
最近の医療現場では、たくさんの種類の医療用機器を数多く使用します。もはや治療に医療機器は必要不可欠であるといっても過言ではありません。この治療に使われる機器の性能がどんどん進歩して医学的な知識だけではなく、工学的な知識と技術を持つ専門職が必要とされていました。そこで医療機器を専門に扱う「臨床工学技士」という職種が誕生しました。
臨床工学技士は1988年に制定された医療資格です。職務内容は厚生労働大臣の免許（国家資格）を受けて「医師の指示の下に呼吸、循環、代謝に関わる生命維持管理装置の操作及び保守点検を行うことを業とする」（臨床工学技士法第２条）と定義されています。
人工呼吸器の点検呼吸（換気）の代行・補助を目的とした人工呼吸器や酸素療法に関連する医療機器の操作、保守・点検・管理をおこなっています。
また、他の医療職種と連携し呼吸ケアチームとして呼吸療法に関する治療を支えています。
人工心肺装置の操作心臓手術するときは開胸して、心臓を一時的に停めることがあります。その場合人工心肺装置という心臓を代行する装置を使用します。臨床工学技士はこの装置の操作、保守・点検・管理をしています。
血液透析の準備腎臓の働きが悪くなった場合、その一部を代行する透析治療が必要です。透析治療以外にも血漿交換療法、白血球除去療法、血液吸着療法など、血液をきれいにする治療法があります。治療の準備や医療機器の操作、保守・点検・管理を行います。
IABPの観察24時間の集中的に治療が必要な患者さんに、人工呼吸器や心臓の働きを補助する補助循環装置（経皮的人工心肺：PSPS、大動脈バルーンパンピング：IABP）や、持続的血液浄化装置、除細動器などの操作、保守・点検・管理を行います。
手術内視鏡の準備人工心肺業務の他にも手術の傷口が小さくて済む内視鏡手術の準備や手術顕微鏡、眼科手術装置の準備など様々な手術機器を取り扱い、麻酔器などの手術に必要な医療機器の保守・管理を行っています。
血管内超音波装置の操作心臓の病気である狭心症や、心筋梗塞の検査ならびに治療をおこないます。
臨床工学技士はモニターを常に監視し、緊急時に必要となるPCPSやIABPの補助循環装置の操作・管理を行っています。
ペースメーカチェック心臓の動きが悪い患者さんにペースメーカを埋め込む手術を行うことがあります。その時にプログラマを操作しペースメーカの設定を医師の指示でおこないます。また、術後も定期的に外来受診してもらいますが、受診時に設定の確認や変更点検なども行っています。
スコープの点検内視鏡センターでの臨床工学技士の業務は検査に使用する電子スコープの取り付けや取り外し・処置具等の補充点検などの管理、また検査が出来るように準備をし、スコープの洗浄及び消毒を行います。
高圧酸素治療装置ガス中毒や潜水病などで低酸素になった時、高い気圧環境の中に患者さんを収容し、高濃度の酸素を吸入させる高気圧酸素治療を行います。その機器を操作・管理を行っています。
輸液ポンプの点検医療現場で使用される医療機器を安全に効率よく運用するため中央管理にしています。その運用も業務の一つです。また、病院内の医療機器を常に安全な状態で使用できるように点検・管理を行っています。
※病院によって業務内容は異なります。ここで紹介できなかった業務を行っている場合もあります。
営業職や技術職、製品開発部門など様々な分野で活躍しています。
高等学校卒業後、臨床工学技士養成校（大学、短期大学、専門学校）において厚生労働大臣の指定する科目を修得します。その後国家試験を受験し合格すると臨床工学技士の免許を取得することができます。
学校法人平松学園 大分臨床工学技士専門学校
日本文理大学医療専門学校 臨床工学科
